Q.個人が国内にある10年超所有の土地等を譲渡し、分譲マンションに買い換えた場合において、

譲渡所得の金額の計算上、租税特別措置法37条1項7号の「特定の事業用資産の買換え特例」(7号買換え)の適用を受ける際のポイントについて教えてください。

A.分譲マンションの敷地利用権(土地の上に存する権利)を7号買換えの買換え資産とする場合は、

①「分譲マンションが住宅等の一定の施設で福利厚生施設以外のもの(「特定施設」)に該当する事、

および②「その敷地利用権の面積が300㎡以上であること(以下「面積要件」)の二要件を満たす必要があります。

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特定の事業用資産の買換え特例の概要

個人が特定の事業用資産(譲渡資産)を譲渡し、一定期間内に特定の資産(買換資産)を取得して、取得の日から1年以内に事業の用に供する場合、一定の要件のもと、

①譲渡資産の譲渡による収入金額が買換資産の取得価額以下である場合は、その譲渡資産のうち収入金額の80%(原則)に相当する金額を超える金額に相当する部分、

②譲渡資産の譲渡による収入金額が買換資産の取得金額を超える場合は、その譲渡資産のうち、その買換資産の取得金額の80%(原則)に

相当する金額を超える金額に相当する部分の譲渡資産の譲渡があったものとして、譲渡所得の金額が計算されます。

これが租税特別措置法37条1項の「特定の事業用資産の買換え特例」です。

この特例の適用により、譲渡益の一部に対する課税を将来に繰り延べることができます。

特定の事業用資産の買換え特例のうち、適用要件が緩やかなため利用されることが多いのが同項の7号買換えです。

マンションの敷地利用権を買換資産とした場合の適用要件

(1)土地及び土地の上に存する権利(土地等)を7号買換えの買換資産とする場合の要件

上記の要件に加えて、次の①及び②をすべて満たすことが必要です。

①次のイまたはロのういずれかに該当する事。

イ.事務所、住宅その他これらに類する施設で福利厚生施設以外のもの(特定施設)の敷地の用に供されるもの(その特定施設に係わる事業の遂行上必要な駐車場の用に供されるものを含む)

ロ.駐車場の用に供されるもののうち一定のもの

②その面積が300㎡以上のものであること(面積要件)

(2)マンションの敷地利用権に係わる面積要件の判定

上記(1)のとおり7号買換えの買換資産に該当する土地等とは、特定施設の敷地の用に供されるもの等で、面積が300㎡以上のものに限られます。

また、その土地等が区分所有に係わる特定施設の敷地の用に供されるものである場合、

個人が取得した土地等の面積が7号買換えの面積要件を満たすかどうかの判定は、

「その土地等の総面積×その個人の専有部分の床面積÷その特定施設の専有部分の総床面積」の算式で計算した面積により行います。

7号買換えの適用上、特定施設に該当するかどうかは、その減価償却資産(分譲マンションの場合は建物)の用途により判定すると考えられるため、

分譲マンションのような区分所有建物については、原則、その機能を発揮する最低単位(専有部分)ごとに判定することとなり、

専有部分の湯徳に伴い取得する敷地利用権が面積要件を満たすかどうかについても、その専有部分ごとに判定するのが基本的な考え方です。

しかし、一つの取引で一棟の建物に含まれる複数の専有部分をまとめて取得し、かつ、それらが特定施設に該当する場合には、

その複数の専有部分に係わる敷地利用権の面積の合計により判定することがよりふさわしいと考えられます。

次の(3)で具体的な事例により面積要件の判定を行ってみます。

(3)事例による面積要件の判定

【問】不動産賃貸業を営む個人幸は、平成30年6月に東京都大田区に所有する貸工場とその敷地(所有期間は10年超え)を総額18億円で譲渡しました。

甲は、その譲渡代金により平成30年中に東京都中央区所在のマンション1棟のうちの18戸を同一の契約で購入し、直ちに個人18人に対して賃貸する予定です。

そのマンションの敷地利用権の面積は各戸とも16.7㎡、18戸合計300.6㎡です。7号買換えにおいて土地等を買換資産とする場合、

甲が購入したマンション18戸に係わる敷地利用権は、この面積要件を満たすことになりますか。

【回答】上記の場合、甲は一つの取引で1棟の建物の各専有部分に対応する本件敷地利用権をまとめて取得することを予定しており、

これらの敷地利用権は全て特定施設(福利厚生施設に該当しない住宅)の敷地の用に供される土地に該当するので、

その面積の合計により「その面積が300㎡以上」の土地等に該当するかどうかを判定します。

甲が取得するマンション18戸の敷地利用権の面積の合計は300.6㎡で300㎡を超えるため、7号買換えの面積要件を満たします(参考:平成28年10月20日東京国税局文書回答事例)

☆今回のポイント

7号買換えの適用を受ける場合、課税の繰延割合は原則80%ですが①譲渡資産が集中地域以外の地域内にある資産に該当し、

買換資産が東京23区内にある資産に該当する時は、課税の繰延割合が70%となり、

②譲渡資産が集中地域以外の地域内にある資産に該当し、買換資産が集中地域(東京23区を除く)内にある資産に該当するときは、

課税の繰延割合が75%となります。したがって、7号買換えの適用を検討する場合には、譲渡資産および買換資産が集中地域に該当するかどうかの確認が重要になります。(月刊不動産6月号より抜粋 山崎 信義)

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azousan
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アゾウ不動産販売㈱代表の阿座上です。東京都府中市で小さな不動産屋を営んでおります。京王線東府中駅周辺に特化して営業に励んでおります。毎日オーナー様向けに様々な情報を提供して行けるようにブログを書いています。ご興味が少しでもお有りでしたら読んで頂けると幸いです。自社の公式ブログではお客様向けのコンテンツを発信しています。